リンク・イット・オール
「そんな悠にだからこそ、聞きたい」
「え……?」
「どうすればまた、ヒロは歌える?」
その問いかけとともに、こちらを真っ直ぐに見つめた。
どうすれば、また。
それは彼が、そしてきっと彼らが。
真紘先輩に歌ってほしいと願っている証。
『誰も求めてないし、自分がやめようと思えば止めてくれる人なんて誰もいない』
真紘先輩は以前、そう言ってた。
だけど、そんなことない。
私が、高田先輩が、笹沼先輩が、関先輩が、きっとそれ以外にも。
彼の歌を聴きたいと願う人がいるはず。
そのために、私にできること。私に伝えられること。
窓の外から室内を照らす日差しに、思い出すのは、歌う真紘先輩と輝く金色の髪。
彼の優しい思いは、いつだって歌で伝わってきた。
だから、今私ができることはひとつ。
「……あの、文化祭のライブって、やっぱり中止ですか?」
「え?うん、まぁその方向で。実行委員会がちょうど今日までなら出演取り消しできるって言ってたから、このあと行こうかなって思ってたところ」
高田先輩も、ギリギリまで迷っていたのだろう。
明日になったら真紘先輩がくるかも、と期待を繰り返していたのかもしれない。
けど、まだ中止って決まったわけじゃなかった。
じゃあ、尚更やるしかない。