リンク・イット・オール
「でも、みんなの音と、真紘先輩の曲じゃないと伝わらないから」
今朝お父さんが言ってた。
私が、どうしたいか。
それを伝えるだけで変わるものがあるはずだって。
私は、真紘先輩の歌が聴きたい。
これからもずっと、何度も。時には立ち止まっても、歌うことをやめないでほしい。
同じ願いを持つ、高田先輩たちの思いとともに、彼に知ってほしい。
あなたの歌だから、心が揺さぶられること。
幸せを感じたり、かっこいいと思えたり、感情が動くこと。
拒まれたらどうしようと、怖く思う。
だけどそれ以上に、伝えたいと願うから。
真剣な顔つきで高田先輩を見ると、その意思が伝わったのか、彼は折れたようにふっと笑って頷いた。
「……わかった。笹沼と関には俺から伝えておくから」
「あっ……ありがとうございます!」
「やると決めたからには、やってやろう」
その笑顔に、背中を押されるように頷いた。
臆病で、人目をさけて、支えてもらってばかりだった自分。
だけど、変わるんだ。
彼を、想って。