リンク・イット・オール



「どう、ですかね……」



不安感をこらえるように、膝の上でぎゅっと拳を握る。



「この分だと来なさそうだよなぁ。あ、じゃあ悠さ、当日までにヒロの家行って声かけてやって」



そう、唐突に笹沼先輩に言われ、思わず「えっ」と声が出た。



「私、ですか?」

「俺らが誘ってもたぶん無理だからさ。今だにメールも返ってこないし」



そんな……。

この前真紘先輩の感情を逆なでしてしまったくらいだ。私が行ってもダメな気がする。



断られたら、いやだな。

この前以上に強い言葉を返されたら。嫌われてしまったら。

彼の言葉を想像するだけで、不安で胸が苦しくなる。





それから、文化祭まで残された短い期間。私たちは毎日朝と放課後、使える時間を全て使って練習を重ねた。



私はひたすら声を出すこと、音程を取り歌詞を覚えることに専念。

先輩たちはそれをフォローしてくれるように、音量やリズムの調整をしてくれた。



そして、文化祭を明日に控えた金曜日の夜。

今日も放課後の練習を終えた私は、真っ直ぐに家に帰ることはせず、バスに乗り家とは反対方向へ向かった。


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