リンク・イット・オール



交番前のバス停で降りると、向かったのは真紘先輩の家だった。

あれから、真紘先輩の家に行こうか、でも断られたらどうしようと迷っているうちに前日になってしまった。



またいきなり来たりして迷惑かも……。

いや、だけど誘わずにはいられない。

ちゃんと伝えるんだ。勇気を出して、明日来てほしいって。聴いてほしいって。



深呼吸をひとつして、やはり震えてしまう指先でインターホンを押す。

ピンポンと音が鳴り、前回はすぐドアが開けられたけれど、今日はインターホンからピッと音がした。



『はい、どちらさま?』



真紘先輩のお母さんの声だ。その声に、思わず背筋を伸ばして答える。



「や、夜分遅くにすみません。百瀬ですけれども……真紘先輩、いらっしゃいますか?」

『百瀬さん……あぁ、悠ちゃん!ちょっと待ってね!』



私だと気づいてくれたようだ。

お母さんはそう言うと、インターホンの向こうで『真紘!早く出てあげな!』と大きな声で言った。

そして少しして、玄関のドアが開けられた。



「悠……?」



そこから姿を現したのは、ジャージ姿の真紘先輩だ。

驚いた様子でこちらを見ながら門の外へ出て来た真紘先輩は、今日はマスクをしておらず、久しぶりに見たその顔は少し痩せた気がする。


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