リンク・イット・オール
「今時『音楽で食っていきたい』なんて、周りの目が気になって言えないけどさ。けどそう思っちゃうくらい、このメンバーで音楽やるのが楽しいんだから仕方ねーじゃん」
笑って言ってみせた笹沼先輩に、高田先輩も頷く。
「進路がバラバラになろうと、集まろうと思えばどうにか時間は作れるし。本気でやりたいと思えば、親にだって担任にだって文句は言わせない」
「高田先輩……」
「俺はこの先は漠然としか考えてなかったけど、ヒロがもう歌えないって聞いて、そこでようやく『失くしたくない』って思えた。叶わなくても、頑張りたいって思うよ」
『一緒に音楽やっていきたい』
『失くしたくない』
きっと普段、本人の前では照れ臭くて言えないような言葉。
だけど、その言葉はきっと
彼の背中を押す、大きな力になる。
「男の友情、ってやつですね」
ふふ、と笑って言った私に、先輩たちは照れ臭そうに笑った。
「で?その問題のヒロは来てんのか?」
すると、思い出したように言う笹沼先輩に、心臓がドキリと音を立て再び緊張する。