リンク・イット・オール



『以上、演劇部でした。次は、軽音楽部によるライブ演奏です』



演劇部の劇が終わり、体育館内は拍手で包まれた。

下がりきった幕の中で慌ただしく撤収作業をする演劇部の人たち。

それと入れ替わるように、先輩たちはドラムを運んだり、アンプを用意したりと楽器の設営をする。

それを見ながらも手伝えることのない私は、ひとりマイクを片手に深呼吸した。



これまで以上に緊張してきた。

けど、頑張るんだ。

先輩たちも、莉乃ちゃんも松永くんも、応援してくれている。



……それに。

スカートのポケットから取り出したのは、以前真紘先輩がくれたピアスの片方。

青緑色に輝くピアスを、震える手でぎゅっと握りしめる。



大丈夫、大丈夫。

真紘先輩を思うだけで、強くなれるから。

そう自分に言い聞かせて、再びポケットにピアスをしまった。



「よし、準備できたな。……行くぞ」



笹沼先輩がそう言って手を挙げると、それを合図に幕が上がる。

ゆっくりと広がる目の前には、この広い体育館を埋め尽くすほどの人たちがおり、全員の視線が一気にこちらへ向けられていた。


これまでの人生で感じたことがないほどの注目を受け、緊張から息がぐっと止まりそうになる。



「おい、悠。大丈夫か?」



目の前を見たまま、棒立ちで固まる私の様子から、緊張で固まってしまったのがわかったのだろう。

隣でギターを持つ笹沼先輩が声をかけてくれるけれど、応える余裕もない。


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