リンク・イット・オール
真紘先輩が、来てくれた。
行かないって言ってたのに。
そのことに嬉しさを感じるより早く、彼は出て行こうとする人々に、混ざるようにこちらへ背中を向ける。
待って
行かないで
足を止めて、こっちを見て。
待って、待って、待って
「っ……待ってください!!」
突然発した大きな声にマイクがハウリングし、キィンと耳に痛い高音が響く。
その音に驚き足を止める人の中で、彼もこちらを振り向いた。
驚いたようにこちらを見てマスクを外す……彼はやはり、真紘先輩だった。
「す、少しだけでいいので、聞いてもらえませんか……!?」
こわい、緊張する。
だけどあなたを見るだけで、伝えたい言葉があふれてくるから。
大きく息を吸うと、全身に酸素が巡るのを感じ、心が少しだけ落ち着いた。
そしてマイクを唇に当て、口を開く。
「……私には、ずっと会いたい人がいました」
いきなりなにを、とこちらを見る人々の視線の中、私は構わず言葉を続ける。