リンク・イット・オール
「だけど、やっぱりこのまま終わってしまうのはいやだから。一方通行でも、伝えたい」
私は顔を上げ、真っ直ぐ真紘先輩を見つめた。それに対し、彼は驚いた顔のままこちらを見る。
しっかりと交わる視線。
沢山の人の中にいるはずなのに、この場には今私と彼のふたりだけのような錯覚をした。
「私は、あなたの歌で前を向くことができました。そしたら、支えてくれる人や明るい世界がすぐ目の前にあったことに、気づけたんです」
それはきっと、あなたがいなかったら見えないままだった世界。
「あなたの歌が大好きです。その声が、たくさんの人に届いてほしいです。だから……つまずいても、立ち止まっても、諦めないでほしいです」
願う気持ちを言葉にするうちに、どうしてか涙が溢れてきてしまう。
その涙はぽろぽろとこぼれ、頬を伝って床に落ちた。
「あなたの歌を聴くため……それが私の、生きる理由のひとつだから」
あの日あなたが、私を生きる理由のひとつに入れてくれた。
『今こうして、悠の涙を拭うために生きてる』
だから、私の生きる理由のひとつにもあなたがいてほしい。