リンク・イット・オール
高校に入って初めての夏休みを終え、二学期が始まった9月3日。
9月とはいえ残暑厳しく、体感的にはまだまだ夏だ。
始業式を終え、それぞれが放課後を過ごしている。
そんな中、窓の外で蝉が鳴くのを聞きながら、私・百瀬悠はひとりでクラス全員分のノートを両手に抱えて長い廊下を歩いていた。
「でさー、この後彼氏と遊ぶんだけど」
ところが、背後から歩いてきた女子のひとりと肩がぶつかり、前に押される形で転んでしまう。
「きゃっ」
床に思い切り膝をつき、手から離れたノートが廊下に散らばる。
「なにー?邪魔なんだけど」
「す、すみません……」
「鈍臭すぎ。ダッサ」
彼女たちはこちらを横目で見て、笑いながら口々に言うとその場を去った。
鈍臭すぎって……。
短いスカートを揺らし歩いていくその後ろ姿を見ながら、反論する気も起きず苦笑いがこぼれた。