リンク・イット・オール
息を切らせながら新館の廊下を走り下駄箱に着く。
靴を履き替えても勢いは止まらず、そのまま帰り道も駆け抜けた。
心臓が強くドキドキとしているのは、走っているからだけじゃない。
彼に、会えたから。
本当に、いた。
夢じゃない、彼に会えた。
奇跡のようにも思えるそのことが嬉しくて、全身が高揚するのがわかった。
嬉しい、泣きそうなほど嬉しい。
「……はぁ、はぁ……」
けれど、だからといって体力が増幅するわけでもなく。
あれから学校から駅まで、駅から家までとずっと走り続けた私は、自宅であるマンションに着く頃には、私は息を切らせへとへとになってしまっていた。
勢いでひたすら走ってしまった……。さすがに苦しい。
慣れないことはするものじゃないとしみじみ思い知りながら、オートロックを抜け、エレベーターで自宅のある階へ向かう。
あ、しかも私、あの日のことお礼言うの忘れた。
今度会ったら、ちゃんと言おう。