リンク・イット・オール
「真紘先輩、か……」
見た目は派手だけど、あの日だって助けてくれたわけだし。いい人、なんだろう。
金色の眩しい髪が、まだ瞼に焼き付いている。
けどあの人たちと同じ部活はちょっと怖いな……。
日頃自分が接することのないような見た目の彼らを思い出しヒヤヒヤしながら、自宅の鍵を開けた。
「ただいま……」
ガチャ、と玄関のドアを開ける。そこは明かりひとつない、薄暗い家。
高層マンションの一室であるその部屋は、家族の人数に対し充分すぎるほど大きな家。
室内は今日もシン、としており、自分がたてた物音だけが響く。
『おかえり』
そう出迎えてくれた姿は、もういない。
その現実だけが重くのしかかり、また寂しさがこみ上げた。