リンク・イット・オール

真紘先輩と出会った日の翌朝。

今日も外は暑く、日差しの眩しさに目を細めながら登校してきた私は校舎の中に入った。



下駄箱の中を見ると、雑に詰め込まれた自分の上履きがある。

それは昨日の帰りの自身の興奮状態を非常にわかりやすく表していた。



昨日は、なんだかいろいろありすぎて疲れた。



探していた彼との再会。なぜか軽音楽部に誘われ、派手な見た目の部員達に囲まれ逃げて……。



でも、真紘先輩は私を見てなんとも言ってなかったし、やっぱりあの日のことは覚えていないのかな。

そもそも私も終始俯いていて彼に顔を見せていないから、わかりっこないか。



彼からすれば、うずくまっていた人を助けただけ。

たったそれだけのことで、記憶にも残っていないのかもしれない。



お礼を言って『そんなことあったっけ』なんて言われたらいやだな……でも言われそう。

だったら綺麗な思い出のまま、このまま秘めておいたほうがいいのかもしれない。



そんなことを考えながら靴を履き替え、3階の教室へ向かおうと廊下を歩き出す。