リンク・イット・オール



「即決しなくても構わないから。ちょっとでも知りたいって思ってくれたら、放課後部室まで来て」

「でも……」



すると、私の声を遮るように廊下の端からは「おーい!」と男子の声が響く。



「ヒロなにしてんだよ、中庭でドッヂしようぜー!」



真紘先輩を誘う声を聞いて、彼は大きな声でそれに答える。



「えー、朝からドッヂボールやる元気なーい」

「負けたチームは買ったチームにジュースおごり!」

「よっしゃ!やる!」



そしてその誘いに乗って、真紘先輩は男子のいる中庭の方向へ歩き出した。

彼が歩き出すと、また人々の視線はそちらへついていく。



背の高い、細身の後ろ姿を見つめていると、不意にこちらを振り向いた真紘先輩と目が合った。

そして彼はふっと笑うと、小さく手を振り男子と合流した。



その笑顔に、小さなときめきを感じながらも、それをごまかすように歩き出す。


< 25 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop