リンク・イット・オール
「いくぞ」
シンバルのカウントを合図に、ギターとベースが一斉に鳴る。
強いドラムのビート、ベースの深い低音、激しいギターのピッキング。
部屋いっぱいに響くその音に、耳を埋め尽くされ驚いてしまう。
けれどその楽器の音の中を突き抜けるのは、真紘先輩の歌声だった。
激しいイントロから、冷静さのあるAメロ。徐々に盛り上がるBメロを経て、サビでは思いをぶつけるように勢いがつく。
その熱量は1番から2番、そこから間奏、と曲を追うごとに増していく。
普段は耳にしないような、鼓膜を揺らすような音。
まるで歌詞に命を吹き込むように、全身で歌う声。
4人の息がぴったり合い、聞いているだけで、この体も心も突き動かされるような衝撃を受けた。
中でも真紘先輩の歌声は、あの日私が聞いたものとはまた違う。
激しく切ない、叫ぶような歌声。
あの日の安心感とは真逆の、鳥肌が立つような魅力だ。
あっという間に1曲を終え、最後の音の余韻が消えたところで4人は一斉に息を吐く。