リンク・イット・オール
「悠、どうだった?」
こちらを見る真紘先輩からのその問いに、私ははっと我に返った。
この衝撃をなんて言葉に表せばいいかがわからず、一度口ごもってしまう。
そして、「あの、その」と繰り返したのちに出てきた言葉は
「す、すごかったです!」
そんな、なんとも月並みな言葉だ。
けれどそんな私の言葉に、真紘先輩は水を飲みながら笑って言う。
「本当?うるさくなかったか?」
「大丈夫です。こんなに近くで、大きな楽器の音聞いたの初めてでびっくりしちゃいましたけど、でもあっという間に魅了されて……先輩たちの熱量というか、激しい思いが伝わってきて、鳥肌立ちました!興奮しました!」
言葉通り興奮状態で、次々と口が動いて止まらない。
それを見て真紘先輩は嬉しそうに微笑んだ。
「そういうところ、だよ。俺が悠を選んだ理由」
「え?」
そういう、ところ……って、どういうところ?
「昨日言ってくれただろ。俺の声を見つけた、って」
「あ……はい」
「あんな小さな歌声ひとつを見つけて駆けつけてきてくれるような人なら、俺らが伝えたいこと感じてくれるって思ったから」