リンク・イット・オール
「……ふつつか者ですが、よろしく、お願いします」
それは、流されたわけでも、断りきれなかったわけでもない。
私自身が決めた答え。
そう言って小さく礼をする。そして顔を上げると、目の前では真紘先輩が目を細め微笑みを見せていた。
「こちらこそ」
窓の外の夕日が、彼の金色の髪をいっそう美しく輝かせる。
その眩しさに目を細めてしまいそうになるけれど、まっすぐ見つめて私も笑った。
まっすぐで力強い彼らの音を
曲によって色を変える彼の声を
もっと近くで、もっと聞きたい。
そう思えてしまったのだから、仕方ない。
できる限りの言葉で、彼らの音を伝えよう。
それが、今の私にできることだから。
そしていつか胸を張った自分が、真紘先輩に、あの日のことを『ありがとう』って言えるようになりたい。
あなたのおかげで、今日の私がいることを、伝えたい。
そのために今は、緊張したぎこちない手で、入部届に名前を書いて。