リンク・イット・オール
「えっ、なんでそんな遅く……はっ!まさか男!?彼氏か!?」
「え!?」
『男』、そのひと言に、図星ではないけれど真紘先輩の顔が思い浮かんでドキリと心臓がはねる。
けれど目の前のお父さんの必死な顔に、慌てて否定する。
「もう、違うよ。部活入ることにしたの」
「部活?そっか、そうだったのか。お父さん焦っちゃったぞ」
明らかにホッとした顔をするお父さんに、こちらもホッとする。
お父さん、優しくて頼もしいんだけど……ひとり娘のせいか、自分で言うのもあれだけど、親バカなんだよね。
小学生の頃、私がバレンタインに男の子にチョコを作っていたのを見て泣いていたのを思い出し、苦笑いがこぼれた。
「でもいきなりどうしたんだ?前に俺がどの部活を勧めても、『特にどれも興味ない』って言ってたのになぁ」
「まぁ、いろいろあって……」
そんなお父さん相手に真紘先輩のことは言わない方がいいだろう、と濁す。
「ところで何部なんだ?調理部とか?あ、もしかして莉乃ちゃんと同じ文芸部とか?」
「ううん、軽音楽のマネージャー」
てっきり女の子らしい部活かと思っていたらしい。私の口から出たその言葉に、お父さんは唖然とした。
かと思えば次の瞬間、手にしていたお弁当箱を置いて私の両肩をガシッと掴んだ。