リンク・イット・オール
「悠、お父さんは断言する。バンドマンはやめておきなさい!!」
やめておきなさいって……絶対誤解してる。
「ってそういうのじゃないから!それに世界中のバンドマンさんに失礼な発言やめて!」
「お父さんは高校時代付き合ってた彼女をバンドマンにとられたことがあってだなぁ!」
「すっごい個人的な理由じゃない!」
娘に悪い虫がつく、と言わんばかりに声を大きくするお父さんに珍しく私も声を大きくして反論してしまう。
そんな私の勢いに、お父さんは押されるようにたじろいだ。
「でもな、けどな」とごにょごにょとする言い方から、反論したいけど娘に嫌われたくもないという複雑な気持ちが垣間見えた。
そして言葉を飲み込むようにすると、息を吐く。
「……まぁ、悠が決めたことなら、反対はしないけど」
渋々ながらも納得したような言い方で、綺麗に包んだお弁当箱を手渡してくれる。
「やると決めたなら、精いっぱい頑張るんだぞ」
「……うん、ありがとう」
笑って答えると、お父さんもつられるように笑った。