リンク・イット・オール
軽音楽部に入ると決めたはいいけれど、正直自分になにができるのかはわからない。
本当に、聴いているだけでいいのかな。
彼らが聞きたい感想を、きちんと伝えられるのかな。
なんて、いろいろ考えると不安になってしまうけれど。
「ゆーうっ」
「わっ」
それから家を出て、いつものように学校へ来ると、校舎入り口のところで突然背中をどんっと叩かれた。
突然のことに驚き振り向くと、そこには真紘先輩がいた。
同じく登校してきたところなのだろう、黒いリュックを背負っている。
「おはよ。今日は早いのな」
「おはようございます……真紘先輩も、早いですね」
「今日は朝イチで、クラスの奴らと昼飯賭けて鬼ごっこするするからさ」
朝から鬼ごっこ……真紘先輩も周りの人も元気だなぁ。
そんな体力私にはないや、と苦笑いしていると、さらに後からやってきた男子が真紘先輩に声をかけた。