リンク・イット・オール
その日の放課後。私は朝のこともありお母さんとふたりきりになるのが気まずくて、お父さんが帰る時間まで莉乃ちゃんたちと過ごしたいと相談した。
『悠でもそういうことあるんだね』と笑いながらも莉乃ちゃんも松永くんも付き合ってくれて、莉乃ちゃんの家で勉強会がてら過ごした。
そして、雨の中帰宅したのは20時すぎ。
ドアを開けると、玄関にはお母さんの靴があるだけだった。
まだお父さんは帰ってなかったか、なんて思いながらも、渋々明かりがついていているリビングのドアを開けた。
『……ただいま』
小さく呟いてリビングを覗き込むけれど、やけに静かだ。
あれ、いないのかな……と室内を見渡すと、キッチンの方に横たわる手が見えた。
『お母さん……?』
それからのことは、うまく思い出せない。
意識を失ったお母さんに、パニックになり救急車を呼んで、病院にお父さんが駆けつけて。
ごちゃごちゃに入り混じる映像の中、はっきりと覚えているのは、ピー……という命の終わりを告げる電子音。
それと、窓の外の雨の音だけ。