リンク・イット・オール



ねぇ、お母さん。

その姿を想うだけで、涙が出るよ。



いかないで、ここにいて。

寂しいよ。

手を握っていて、離さないで。

『ごめんなさい』って、言わせて。



こんなに大好きなのに。

まだ話したいこともあった、行きたいところもたくさんあったのに。



だから、ねぇ、いかないで。





夢の中で伸ばした手に、ぬくもりを感じてふと目を覚ました。



ぼーっとする頭で辺りを見ると、白いカーテンに囲まれたベッドの上だった。

ほのかに鼻につく消毒液の匂いから、ここが保健室だと気付いた。



「あ、起きた?」



その声に視線を右隣に向けると、ベッド脇に置いた椅子に座り真紘先輩がこちらを見ていた。



「私、なんでここに……」

「倒れたから運んできた。よっぽど体限界だったんだね、よく寝てたよ」



言われてから壁に掛けられた時計を見れば、時刻はすでに18時すぎ。

5限目どころか6限目も終わり、とっくに放課後だ。



本当だ、だいぶ寝ちゃってた……。

そこでふと、私の右手が真紘先輩の右手を握っていることに気がついた。



って、なんで手を……!?

驚きついガバッと体を起こし、手を離す。




< 69 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop