リンク・イット・オール
ねぇ、お母さん。
その姿を想うだけで、涙が出るよ。
いかないで、ここにいて。
寂しいよ。
手を握っていて、離さないで。
『ごめんなさい』って、言わせて。
こんなに大好きなのに。
まだ話したいこともあった、行きたいところもたくさんあったのに。
だから、ねぇ、いかないで。
夢の中で伸ばした手に、ぬくもりを感じてふと目を覚ました。
ぼーっとする頭で辺りを見ると、白いカーテンに囲まれたベッドの上だった。
ほのかに鼻につく消毒液の匂いから、ここが保健室だと気付いた。
「あ、起きた?」
その声に視線を右隣に向けると、ベッド脇に置いた椅子に座り真紘先輩がこちらを見ていた。
「私、なんでここに……」
「倒れたから運んできた。よっぽど体限界だったんだね、よく寝てたよ」
言われてから壁に掛けられた時計を見れば、時刻はすでに18時すぎ。
5限目どころか6限目も終わり、とっくに放課後だ。
本当だ、だいぶ寝ちゃってた……。
そこでふと、私の右手が真紘先輩の右手を握っていることに気がついた。
って、なんで手を……!?
驚きついガバッと体を起こし、手を離す。