リンク・イット・オール
「あ、百瀬さん起きたね」
話しているとカーテンが開き、白衣を着た女性養護教諭が顔をのぞかせた。
体を起こした私を見て、先生は少しふくよかな頬を上げて笑う。
「もう大丈夫そうだけど、貧血だったみたいね。ちゃんとご飯食べてる?」
「正直、あんまり」
「でしょ。波江さんも『最近いつもお弁当残してた』って心配してたよ」
波江さん……莉乃ちゃんだ。私が最近お弁当残し気味なの、気付いてたんだな。
「今日はお迎え来てもらって、栄養あるもの食べなさいね。家の人は連絡つきそう?」
「あ……えと、父は出張中で、母は、いないので」
『母はいない』、お母さんが亡くなってから初めて口にする言葉にまた気持ちが沈みそうになる。
けれど、話を聞いていた真紘先輩は「えっ」と声をあげた。
「じゃあ今日飯どうすんの?」
「コンビニとか、ですかね」
「いやいや、栄養あるものって言ってんのに……」
自炊もできなくもないけれど、そんな元気もない。
コンビニで適当におにぎりでも買って済ませようとしていた私に、真紘先輩は怪訝な顔をする。
けれど、なにかひらめいたように一瞬で表情を変えた。