リンク・イット・オール
「重いとか言ってませんでしたか……!?」
「全然。授業出ればって言っても、『目覚ますまではついていてあげたい』って言ってたくらいだし、大事にされてるのね」
私が、目を覚ますまでは……。
それは、私が彼の手を掴んで離さなかったからというだけの理由かもしれない。
だけど、ほんの少しでも、先生の言うような理由の可能性があったら嬉しい。
大事にされてる、か……。
恥ずかしいのに、嬉しい。
どんな気持ちでそばにいてくれたんだろうって、想像するだけで胸がときめく。
「お待たせ。母ちゃんからも即答でオッケーでたし行こ」
ベッドから降りたところで戻ってきた真紘先輩は、そう言って壁際に置いてあった私の鞄を手に取る。
「あれ……私の荷物、いつの間に?」
「さっき波江さんが持ってきてくれたの。部活があるから待っててあげられないけどお大事に、って言ってたわよ」
莉乃ちゃん……。
きっと莉乃ちゃんと松永くんも心配しているだろう。明日会ったらお礼を言わなくちゃ。
そう思いながら髪やスカートを整える私に、真紘先輩は手招く。
それに急かされるように駆け寄り、先生に「お世話になりました」とお辞儀をして保健室を出た。