リンク・イット・オール
「あの、本当にいいんですか……?」
「いいのいいの。5人も6人も変わらないし。笹沼とかもよくうちで飯食ってくよ」
5人家族なのかな……ということは兄弟がいる?
考えながらも、真紘先輩についていくように歩き、靴を履き替え校舎を出る。
外はすっかり日が暮れていて、少し暗くなりはじめていた。
そして校舎裏の駐輪場へ行くと、真紘先輩は一台の自転車の前で足を止めた。
「自転車通学なんですね」
「ひと駅くらいだしね。じゃ、後ろ乗って」
「えっ!大丈夫ですか!?重いですよ!?」
タイヤがパンクしたら大変、と首を横に振る私に、彼はおかしそうに笑う。
「重くなんてないって」
そして、その言葉とともにまるで子供を乗せるかのように私の体を両手で軽く持ち上げて、自転車の荷台に横向きに座らせた。
その自然や優しさと笑顔に、さっき先生が言っていたことを思い出す。
『本当に王子様みたいで』
王子様、なんて彼に言ったら笑われてしまうかもしれない。けど、そう思えてしまった。