リンク・イット・オール
真紘先輩の隣に用意された席に座ると、みんなもそれぞれの席に着く。
そして「いただきまーす!」と元気よく声を発し食事を始めたのを見て、私も手を合わせた。
「いただきます……」
「どうぞどうぞ。お口に合うといいんだけど」
にこりと笑う真紘先輩のお母さんと、隣に座る真紘先輩、ふたりの顔をちらりと見てお箸を持つ。
お椀の中のなめこのお味噌汁をひと口飲むと、だしの香りがふわりと広がった。
お母さんが作ってくれたお味噌汁の味に、似てる。
だしの量か、お味噌の種類なのか、作り方なのかはわからない。
けど、確かにお母さんを思い出すその味に懐かしさと安心感を覚えた。
その途端、胸の奥に張り詰めていた糸がプツンと切れたように、涙がポロポロとこぼれだした。
突然の私の反応に、その場の全員がギョッと驚く。
「ゆ、悠?どうした?」
「ママのごはん泣くほど不味かった!?」
「ちょっと!失礼よ!」
いけない、いきなり泣き出して驚かせてしまった。
私は一度お椀を置くと、慌てて両手で涙を拭う。