リンク・イット・オール
「あーうるさい。ごめん、双子が変なことばっかり言って」
「いえ、楽しかったです」
照れ臭そうに頭をかく真紘先輩に、私は笑って首を横に振る。
「お母さんも双子ちゃんたちも弟くんも、みんな明るくて優しくて、この家族がいたから真紘先輩になったんだなって、思いました」
胸に感じた思いをそのまま言葉にすると、なんだか私も照れ臭くて、「へへ」と笑って誤魔化した。
そんな私を見て、真紘先輩は少しおどろいてから、くすぐったそうに笑って、そっと私を持ち上げ自転車の荷台に座らせた。
「わっ……もう、自分で座れますよ」
「そう?悠鈍臭そうだから」
散々笑った仕返しと言わんばかりに、今度は真紘先輩がからかうように笑った。
そして前に乗り、来た時同様自転車を漕ぎだした。
慣れない住宅街の中を、自転車はスイスイと抜けていく。
夕方より少し涼しい風がスカートをなびかせる。
「……お母さん、亡くなってたんだ」
シャー、とタイヤの回る音が響く中、その声がぼそりとつぶやいた。