リンク・イット・オール



「あーうるさい。ごめん、双子が変なことばっかり言って」

「いえ、楽しかったです」



照れ臭そうに頭をかく真紘先輩に、私は笑って首を横に振る。



「お母さんも双子ちゃんたちも弟くんも、みんな明るくて優しくて、この家族がいたから真紘先輩になったんだなって、思いました」



胸に感じた思いをそのまま言葉にすると、なんだか私も照れ臭くて、「へへ」と笑って誤魔化した。

そんな私を見て、真紘先輩は少しおどろいてから、くすぐったそうに笑って、そっと私を持ち上げ自転車の荷台に座らせた。



「わっ……もう、自分で座れますよ」

「そう?悠鈍臭そうだから」



散々笑った仕返しと言わんばかりに、今度は真紘先輩がからかうように笑った。

そして前に乗り、来た時同様自転車を漕ぎだした。



慣れない住宅街の中を、自転車はスイスイと抜けていく。

夕方より少し涼しい風がスカートをなびかせる。



「……お母さん、亡くなってたんだ」



シャー、とタイヤの回る音が響く中、その声がぼそりとつぶやいた。


< 84 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop