リンク・イット・オール
「ひとりになると、いやなこといろいろ考えてつらいよな」
「……はい」
ひとりになると、寂しさに嫌なことばかり考えてしまう。
いくら考えても、思っても泣いても、時間は戻らないとわかっていても。
考えて、責めて、悲しくなる。その繰り返しだ。
「だから、寂しい時はいつでも会いにおいで。部室にでもいいし、うちでもいい。そしたらその度、悠はひとりじゃないって教えてあげるから」
私は、ひとりじゃない。
そう伝えてくれる彼の横顔は、先ほどの寂しげな目とは違う。優しく微笑むのが見えた。
きっとその言葉や優しさは、彼自身も寂しさを知っているからこそのもの。
ひとりの寂しさ、寄り添う嬉しさ、それらを知っているから、彼の歌声は切なく優しいのだろう。
そんな彼の存在が、今日もこの心を励まし支えてくれる。
ひとりじゃないと、強くさせる。
それが嬉しくて、胸にあふれた行き場のない愛しさに、私はその背中にぎゅっとしがみつくように抱きついた。