リンク・イット・オール
◇5.あのひ もしも



彼の優しさと、家族のあたたかさに、心に降り続いていた雨があがった気がした。



寂しさを知り、寄り添ってくれる。

そんな真紘先輩の温もりが、心地よくて愛しい。





9月も半ばに差し掛かり、日に日に暑さも和らぎつつある。

そんな月曜日の放課後、私は教室で鞄にノートを詰め部活に行く準備をしていた。



「悠、今日も部活行くの?」



莉乃ちゃんに声をかけられ、「うん」と頷く。



「金曜日は委員会で行けなかったから」

「楽しいのはいいけど無理するなよ。この前みたいに倒れたらまた大騒ぎになる」

「あはは、その節は本当にすみませんでした」



手にしていたノートで、ぺし、と私の頭を軽く叩いた松永くんに苦笑いで謝った。



「お父さんは出張から戻ってきた?」

「うん。先生から連絡いってたみたいで、予定前倒しで帰ってきたよ」



学校で倒れた日から、4日。

土曜日に出張から帰って来たお父さんは、私の顔を見るなり『無事でよかったー!』と半泣きで私を抱きしめた。

そしてそれから毎食山のようにごはんを作ってくれて、今日のお弁当もお弁当箱いっぱいのおかずがぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。



このままじゃ絶対太る……。


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