リンク・イット・オール
「でもお父さんの愛のせいか、もうすっかり顔色いいね」
「そうかな?」
「うん、調子よさそうな顔してる。ね、松永」
莉乃ちゃんに肘で小突かれ、松永くんも同意する。
以前より調子がいいのは、自分でも感じている。
それはきっと、お父さんが心配してあれこれと沢山のご飯を作ってくれるから。
夜に深く眠れるようになったから。
それと、真紘先輩の言葉が、今でも胸に響いているから。
『悠がひとりじゃないって教えるから』
彼の言葉が、声が、今日も私を強くさせる。
教室を出て、新校舎へやって来た私は、部室のドアを小さく開け中をこそ、と覗く。
「お疲れさまです」
そうぼそっと声をかけると、真紘先輩に高田先輩、笹沼先輩の3人がすでに揃っていた。
「悠。お疲れ、3日ぶり?」
「はい。この前は大変お世話になりました」
真紘先輩に深々と頭を下げてお礼を言うと、彼は笑って、『おいで』というように自分が座っている席の隣の椅子をぽんぽんと叩く。
そのやりとりを見て、真紘先輩の向かいに座っていた高田先輩が口を開いた。