リンク・イット・オール
「この前倒れて大変だったんだって?もう大丈夫なの?」
「あっ、はい。もうすっかり」
「さすが、王子様の愛の力はすご、むがっ」
無表情でさらっと言った高田先輩に、その口を塞ぎながら真紘先輩は「余計なこと言わない!」と怒る。
お、王子様?
なんの話?とキョトンとしていると、高田先輩が口を塞ぐ手を外しながら言葉を続ける。
「この前の件、うちの学年でもすっかり話題でさ。『ヒロが女子をお姫様抱っこしてた』『起きるまで寄り添ってた』『王子様だ』……ってなって結果ヒロのあだ名が王子になってるんだよね」
「って全部言うな!」
そうだったんだ……!
確かに私も王子様みたいだとは思ったけれど、私のせいでそんなあだ名になっていたなんて。
恥ずかしいやら申し訳ないやら。
そう考えてふと気づく。真紘先輩に授業を2時間も休ませてしまったこと。
「はっ、そうだ。真紘先輩、授業休んで大丈夫でしたか?」
「あぁ、うん。寧ろ担任が『後輩の看病で授業を休むなんてお前にも先輩らしいところがあったんだな』って褒めてた」
真紘先輩は、むしろラッキーといった様子でへらっと笑う。
先生の真紘先輩のイメージって一体……。