リンク・イット・オール
「すごい、プロみたい……」
惚れ惚れとしながらつぶやくと、真紘先輩は「褒めすぎ」と少し恥ずかしそうに笑った。
「だってすごいです。私はそういうのできないですもん」
「別にすごくないよ。思ったことや考えてることが普段は言えないから、歌詞にのせて言ってるだけ」
言えないことを歌詞にする。
……そっか、だから。
本音を歌う彼の歌詞と声は誰よりも真っ直ぐ。
だからこそ、優しい歌は心にじんわりと染み込み、激しい歌は全身を強く揺さぶる。
誰の言葉でも意見でもない、彼自身の気持ちだから。
真紘先輩は笑いながらパソコンをシャットダウンし、そっと閉じる。
「パソコンありがとな。どこに戻す?」
「すみません、じゃあそこの棚に……」
そして私が指差す先にある近くの棚の上にパソコンを戻した。
その時自然と目に入ったのだろう、壁際のチェストの上に置かれた小さな仏壇に視線を止めた。