リンク・イット・オール
「これ、お母さん?」
「あ、はい。そうです」
まだ真新しい、小ぶりな仏壇の前には今朝飾ったばかりのお花とお母さんの写真が並ぶ。
写真の中の笑うお母さんと、立ち上がり隣に立つ私を、真紘先輩は交互に見比べた。
「よく似てる。お母さんのほうが少し気が強そうだけど、でもそっくり」
「お父さんからもよく言われます。若い頃のママそっくり、って」
そう言って私を抱きしめるお父さんを思い出すと、少し恥ずかしくて笑う。
「性格は?」
「私とは真逆ではっきりした人でした。お父さんが私に甘い分、厳しいところも沢山あって、私も喧嘩することもたまにあって」
「へぇ、悠も喧嘩するんだ」
意外、と頷く真紘先輩に、家族にしか見せない顔を見せるのが少し照れくさい。
お母さんの写真を見る度思い出すのは、楽しかった日々のことや、叱られて泣いた時のこと。
そして、そんな当たり前の日々があることが当然だと疑わなかった自分。