リンク・イット・オール
「お母さん、昔からずっと体が弱くて……でもここ何年か元気なことが多かったから、私、それが当たり前だと思ってたんです」
今思うと、私が幼い頃は度々短期で入院をしていたし、退院後は頻繁に通院もしていた。
だけど、お母さんはいつも普通だった。
もしかしたら、隠していたのかもしれない。
気丈に振る舞って、心配かけまいと笑っていたのかもしれない。
それに私は、なにひとつ気づけずに。
「……明日が必ずあるとは、限らないのに」
今更気づく自分の幼さに、ひどくがっかりする。
……なんて、一方的にお母さんのことを語ったりして、真紘先輩も困るよね。
話題を切り替えようと彼を見る。けれど私を見る彼の表情は、まるでその続きを待つような優しい瞳をしていた。
その眼差しが優しすぎて、泣きそうになるのをぐっとこらえる。
そんな、優しい目をしないで。
なんでも受け入れてくれるような目で、見つめないで。
他の話題に移ろう、もうこれ以上は話さないでおこう。
そう思うのに、眼差しに気持ちが揺らいで、唇が動き出す。