こじれ男に花束を〜俺様女医のスパルタ恋愛塾〜
「は、始めまして!!!わ、わたくし柴田の上司の細井と申します!体は太いですが細井です!よろしくお願い申し上げます!!!」

部長は彼がリハビリ士だとわかるとここぞとばかりにささっと名刺を用意し、
深々と頭を下げた。

およ、と渡されるがままに受け取った名刺を彼は見つめる

「あ、住環境福祉の方でしたか〜。それではこれからもご縁がありますねぇ」

「は、はい!わたくし普段は事務所におりますので橘さんとご縁ございませんでしたが、この足を痛めている柴田は新しくこちらのエリアになりますので何とぞよろしくお願い申し上げます!!!」

部長はますます頭を下げていった。
営業の鏡だ。

「あ、そうですか、柴田さんもですか。それでは手厚くしなければ、ですね‥」

ふふふ、と、軽やかに笑って
俺を見つめてきた。
恥ずかしいそうに微笑んだ笑顔に
心臓が音を立てて跳ねた感覚に陥った。

おい

落ち着け落ち着け。

そうだ、
似てるんだ。

仕草、物腰がとにかく柔らかくて
そこにいるだけで癒されるような。

少し、亡くなった妻を思い出した。




可愛いらしくて美人の男性なんて
本当にいるんだな。
まるで漫画みたいだ‥。

部長に手まで握られたのに
ウンウンと
嫌な顔一つせず、対応している橘春彦に
俺は好感を持った。
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