こじれ男に花束を〜俺様女医のスパルタ恋愛塾〜
「おいおいなんだこの病院は。美男美女ばかりじゃないか!天国か?天国なのか?」
彼が消えた途端に
細井部長が鼻息を荒くしてまくしたてる。
「?美男は今見ましたが、美女、とは?」
「内科の高村藍先生だよ!知らないとは言わせないぞ。先日お世話になっただろう!」
ああ‥‥。
あの人、か。
「あの方に身体を切り裂いていただけるなんて羨ましいよ!ああ、
メスが似合いすぎる‥」
「部長。部長の性癖怖いです」
早く「あの人」のいる病院から抜けたかったのに、またこの病院に舞い戻ってしまった‥。
まあ、
でも、整形外科にはこないだろうし、
忙しいんだからいちいち内科から来ることもないだろう。
今、「あの人」に会うと、どうしても思い出してしまうし、あの人もそんな俺の傷口ザクザク掘ってくるだろう。
「あの人」に、どうかばれませんように。
この病院のどこかで今日も働いてるだろう
高村藍の目に触れず、透明の存在になって、すみやかに退院できますように‥。
窓から見える何かの神社にお願いした。