こじれ男に花束を〜俺様女医のスパルタ恋愛塾〜
「骨折、したんですって?」

「!!!!!!!!!」

「病院、あなたが好きだとは知らなかったわ」


おい神社!
お願いして1時間後に来たよ⁇
1時間しかお願い聞いてくれないの⁇
俺は何も語らない神社をにらんだ。

「な、なんで知って」
「貴方の上司の、太井?あ、細井?さんが、
内科までご挨拶に来てくださったのよ。
何、奥様と娘さん取られてボサーっとしてたの?」


痛い
痛い
足と胸が(涙)


俺の会いたくなかった女医は、
わざわざ内科から会いに来てくださり、
きっちりと俺を痛めつけた。

白衣を細い身に纏い、背筋は相変わらずまっすぐで。
凛とした風格は
相変わらず明らかに一般の人々とは違うオーラがでている。
姉弟とも一体何を食べたら
こんなにスタイルが良くなるんだ。


「‥ハア。
駄目じゃない。次、娘さんに会うまでに
しっかりするって、言ってたのに、早速こんな感じだなんて。
どうしたの?お腹の傷、痛むの?」

女医は厳しいことはズケズケと
言うのに、疾患の事になると、途端に女神のように暖かい表情になった。

あ、美しい、
素直にそう思う。

化粧は薄く、
白い素肌が陶器のように艶を保っている。

皮膚が強いんだろうか。
ゴムばりの弾力があるんだろうか。

昔も綺麗な人だったが、年も重ねて
磨きがかかり、まさに完璧な美しさを
誇っていた。匂い立つようだ。

花屋の先に並んだ美しい薔薇を鑑賞する気持ちで、横顔を眺めていると


「脱いで」


「は?」
ヌイデ⁇

無表情に唇だけが動いた。


「手術跡見せてって言う意味よ。
何たじろいでるの。豊の裸どころか内臓まで見てるわよ」



‥‥。


あ、でも
今「豊」って、呼んだ?


その呼び方は、
本当に久しぶりで
元妻でさえ呼んだことはなく‥。
いきなり俺を18年前にタイムスリップさせた。
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