こじれ男に花束を〜俺様女医のスパルタ恋愛塾〜
(豊、寒いよ、手つないで)

(豊、肉まん半分こしよっ)

(豊‥好き‥早く‥)


「早く脱いでって、言ってるの。早く見せて」

「あ、ハイ‥‥」


危うく懐かしさに意識が行って、危ない妄想に行く所だった。



俺は黙って
いそいそと腹をめくりあげた。


情け無い‥

手入れもくそもない腹毛が、
ぴょこんと、立っていた。
なんの努力もしてないふよふよの腹。
たるみの極みだ。


恥ずかしがる俺をよそに
女医はゆったりと、簡易イスから立ち上がりベッドの端に腰をかけ、腹の手術痕を
指でつつ、と、撫でた。


ヒイッ!と、
声が出そうになった。

いきなり体中の血が下半身に回っていくのを感じ、恐ろしさで汗が吹き出してきた。


女医が
俺の腹に顔を近づけ、
ふわりと鼻息がかかる。

こんな美女に鼻息かけられて
なんともおもわない男がいるだろうか!?

女医は
まるで遊んでいるかのように
縫合跡を指で何度もなぞる。


恥ずかしいやら
興奮するやらでぐちゃぐちゃになり
もう、
限界だ!

と、手を振り払おうとした時、



ノックの音がした。



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