初恋レモン
「菜々ちゃん、トイレの場所
知らないでしょ?」


救世主。


「へへ、今どうしようか悩んでたとこ。」


光輝君に案内してもらおうとすると、
笑顔だった光輝君は
フッと笑みを消して真剣な眼差しをした。


え…?


「光輝君…?」


私が後ずさりすれば
同じ歩幅で光輝君が近づいてくる…。


気付けば壁に追いやられていた。


「えっと…、これは…。」


いつもと違う雰囲気のせいで
顔を真っ直ぐ見る事が出来ない。


「俺さ、さくらに飽きてて、最近。
菜々ちゃんの事いいなって
思ってたんだよね~。」


そう言った光輝君は
私の知ってる光輝君ではなかった。


「…うそ、そんなの。」


さっきだって
あんなに嬉しそうに照れてたのに…。
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