初恋レモン
「菜々、話したいから外行こっか。」


私はその言葉にただ頷き、
光輝君の家を出た。


海人君がなにか覚悟をしたような目をしたから。



少し歩いた先にあった公園。


「そこ座ろ。」


木の陰になっていたベンチは、
日差しが無く、夏の風がとても
心地よく感じた。


「菜々には関係ないかもしれないけど、
聞いてほしいんだ。」


一呼吸置いた後、
海人君はゆっくりと話し出した―――




「あの、菜々と島で出逢った数年後、
俺の両親は離婚したんだ。
母親の浮気が原因で…。」


そこからは
ただ話を理解するので
精一杯だった。


だって、私の記憶の中には
仲がいい海人君のお父さんとお母さんがいるから。


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