初恋レモン
「でも、菜々の事を思い出すと
気持ちが落ち着いたんだ。」


その言葉に地面に向けていた視線を
海人君へ移した。


隣の海人君はすごく優しい表情で、
こっちまで微笑みたくなるような。


「俺はあの日、菜々に恋をしたんだ。」


…へ!?


「菜々は俺の初恋だった。
正直、再会した時はその頃ほど
気持ちはなかったけど、
菜々と一緒にいると本当の自分でいられた。
3年の先輩に菜々が告白された時、
嫉妬してる自分がいて
俺はやっぱ菜々が好きだって思った。」


驚きすぎて言葉が出てこない。
そんな私を見つめながら続けた。


「でも、友達以上になるのが怖かったんだ。
”もし、裏切られたら”
そんな考えが頭を過って。
だけど、さっき光輝のおかげで気付いた。
俺は、菜々を誰かに捕られる方が嫌だ。
だから…。」
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