初恋レモン
私の涙も乾いた頃、
ピッタリとくっついていた体は離れた。


そして視線が絡まり私達は
あの日のようにどちらからともなく
キスをした。


5年ぶりに感じる温もりに
また涙が溢れそうになった。


好きな人に
好きって言われるのって
こんなにも嬉しいんだね。


今まで知らなかった。


海人君に再会して
”両想い”っていう
素敵なプレゼントをもらった。




唇が離れた後、
海人君が口を開いた。


「本当はレモンの花束
あればよかったんだけど…。」


少し残念そうな顔で。


でも、私は嬉しかった。


「レモンの話、覚えててくれたの?」


「当たり前でしょ。
初恋の女の子との思い出なんだから。」
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