初恋レモン
そんなお父さんをお母さんがなだめて
やっとこ家を出てきた。


お母さんの車でみんなを迎えに行って
今は海の上。


「潮の匂い久々…。」


すーっと大きく息を吸って
存分に海を感じた。


懐かしい。
東京の街中でこの匂いは
どう頑張っても嗅げないからね。


「菜々何してんの?」


海を眺めている私の背後に
海人君が来ていた。


「海の匂い!
久し振りに嗅いだなって!」


「そっか、よかったな。」


そう言って優しく私の頭を撫でた。


今は外のデッキにいて
風が吹いて涼しいはずなのに
私の体温は一気に上昇した。


付き合ってからと言うもの、
少しでも触れると
前以上に意識してしまって
心臓がバクバクする。
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