初恋レモン
はぁ、ともう一度大きなため息が出た。


どうすりゃいいんだよ…。


もちろん無理やりなんて
そんな考えは一切ない。
こういうことは菜々のペースに合わせたい。


でも、俺だって健全な男子高校生…。


…地獄だ。


でも、耐えると決め気合を入れた。


「お待たせ!」


と、そこへちょうど菜々が戻ってきた。
紅茶とレモンのケーキを持って。
レモンの爽やかな香りが鼻をかすめた。


「これね、おばあちゃんのケーキ!
すっごく美味しいんだよ!!」


この菜々の無邪気な笑顔を見たら
さっきの邪念はどこかへ飛んで行った。


俺は、この笑顔を守っていきたい。
俺が泣かせるようなことは
絶対にあっちゃいけないんだ。
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