初恋レモン
手を引っ張って
連れて行こうとする私に
観念したのか、
私の手を離しステージへと歩き出した。


ステージ上に上がり、
ライトで照らされれば
より一層大きくなる歓声。
3人の中で一番大きかった。


「3人揃うとまぶしいですね~!
あとでみなさんから
コメントいただくので
考えておいてくださいね!
続いてミスの発表に移ります!」


私はステージ上にいる
海人君に釘づけだった。


王冠とマントを着せられた海人君は
本物の王子様に見えたから。


だから、気付かなかったんだ。


私の名前が呼ばれていることに。


「…な、なーな!菜々!!」


「え!?」


さくらちゃんに
大きく体をゆすられて我に返った。
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