初恋レモン
「なんか緊張してる?」


クスッと笑った海人君の笑顔に
なんだかつられて私も笑ってしまった。


「昨日の事思い出して…。」


「あれには俺もビックリ。
まさか菜々がキスしてくれるなんて。」


いたずらっ子のように笑った海人君は
一歩私との距離を詰めた。


「…もう一回してよ。」


その言葉に、息が止まるかと思った。


楽しそうにからかっているように
到底本気で言っているようには見えない。


「じょ、冗談だよね?
ほら、みんな帰ってきちゃうかも
しれないし…。」


みんなが出て行ったのは
つい5分ほど前の話。
だからそれは有り得ないんだけど、
そんな言い訳しか思いつかなかった。
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