初恋レモン
「ほーんーき。して?」


そういって目を閉じた。


綺麗な顔…じゃなくて!


「は、恥ずかしくて無理!」


くるっと海人君に背を向けると
その背中は温かい体温と
レモンの香りに包まれた。


「じゃあ俺がしていい?」


耳元は反則…。
海人君の問いに答える余裕なんて
全くない私はただその場に
大人しく立っていた。


すると、後ろにいたはずの海人君が
あと数センチで唇が触れる距離にいた。


海人君の右手が私の頬に添えられ
だんだん角度を変えて
顔が近づいてきた。


思わずギュッと目を瞑ると
ポンと優しく頭を撫でられた。


「嘘。昨日みたいに菜々が
したいって思ってくれた時にするよ。」
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