初恋レモン
右手を頭の横まで上げて
ヒラヒラと振り行ってしまった。


そんな後ろ姿に
風間先輩にも
大切な恋が訪れますようにと願った。


1人、立ち尽くしていると
チャイムの音が鳴った。


腕時計を確認するとHRまで5分を切っていた。


遅刻する…!


自慢の脚力を活かして、
何とかHRに間に合った。


「はあ…、よかった…。」


自分の席に座り
呼吸を整えていると隣から声がした。


「カバンだけ置いてどこ行ってたの?」


ムスッとした顔の海人君。


「…怒ってる?」


ようにしか見えないけど
理由が全然分からない。


「…別に。」


と、口を尖らせてそっぽを向いた。


絶対怒ってるじゃん!!
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