初恋レモン
ぷいっと顔を背けると
海人君がオロオロしながら
私の前に来た。


「な、菜々ごめん!
その…さ、もしかしたら
風間先輩の所じゃないかって思ったら
なんかイライラして…。」


恥ずかしそう頭を抱えて
「こんな事言うつもりなかったんだけど…」
って小さい声で呟いた。


焦ってる海人君、初めて見た…。


いけないかもしれないけど、
また新しい海人君の一面が見れて
嬉しいと思ってしまった。


だからちょっと意地悪しちゃった。


「…うん、さっきまで会ってたよ。」


大事な部分を抜いてそう言った。


「え!?」


すると海人君はさっき以上に
焦り始めた。


「え、つまり、その…。」


この海人君を見て
笑いが堪えられなくなったのは
私だけじゃなかった。
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