初恋レモン
光輝君の家、お初です…。


「そんな緊張しなくても!
裕子さん優しいし、ケーキ美味しいし
最高だよ?」


上がって上がって~!
と自分の家のように入って行くさくらちゃん。
幼なじみ兼恋人だもんね。
なんか、こういう関係いいなって思った。
…いつか私も海人君と…


って何考えてるんだろ!
まだ全然そこのスタートラインにも
立ててないのに。


ぶんぶんと首を横に振って
邪念を取り除いた。


「…ぷっ。なに犬みたいに
首振ってるの?」


後ろに立っていた海人君に
笑われてしまった。


「なっ、なんでもない!
お邪魔します!」


今の私は、光輝君の家に
足を踏み入れる緊張より、
変な事をして海人君に笑われた
恥ずかしさのが勝っていて、
逃げるようにさくらちゃんの後を追った。


「…可愛い。」


海人君がこんな事を
呟いていた事も知らずに。
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