楠社長のお気に入り
「どうぞ召し上がって下さい」


「あ、ありがとうございます」


本当に来ちゃった…。しかも隣に社長が座ってるし、緊張する…。


「そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですよ三月様」


「いや、社長室って名前だけで緊張しますよ。職員室と同じレベルで…」


「ふふっ。ということは、三月様はよく職員室に呼び出されていたんですか?」


「悪いことして呼び出されたわけじゃないですよ?教室にプリント持ってってくれーとか雑用です。だから放送で呼ばれる度、今日はどんな用で呼ばれたんだろうってドキドキで…。幹さんはそういうの無さそうですよね」


「そうですね…。おっと、これ以上二人でお話ししてはいけませんね。社長が拗ねてますから」


え?……ってすごい分かりやすく機嫌悪い。もしかしてこれってヤキモチ??


「あの…そんなに拗ねないで下さい社長…」


「零」


「え?」


「社長じゃなく零って呼んでほしいな。幹だけ名前とかずるくない?君を好きなのは俺なのに…」


「あ、あの社…」


社長と呼ぼうとした瞬間、腕を引っ張られ社長に抱き締められてしまった。幹さんもいるのに…。恥ずかしくて、早く離れようと社長の胸を押すけどびくともしない。


「逃げないで。ねぇ、まゆ。零って呼んで?ね?」


み、耳元でしゃべらないでよ…。しかもまゆって…。


「うぅ…、れ、零……さん」


よくできましたと零さんは頭を撫でて、抱き締めてた身体を離した。






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